海辺8つの蒸留所から生み出される個性的な味わいアイラウイスキー!
2016/01/23
のぽさん
2016/05/24 更新
世界で様々な種類のウイスキーが作られています。その中でも産地で分類し『五大ウイスキー』と呼ばれるものがあります。5種類のカテゴリーに分かれるウイスキーを、なるべく専門用語は使わず、できる限り簡単に比較解説していきたいと思います。
ざっくり言ってしまえば、ウイスキーとは穀物(大麦、ライ麦、小麦、トウモロコシ)を発酵させ蒸留したもののことを指します。
そのウイスキーの種類を分類するためには、基本的なウイスキーの作り方を知っている必要があるのです。
そこでまずはウイスキーの作り方を簡単にご説明していきます。
穀物のでんぷん質は、そのままの状態では発酵しません。
発酵させるためには、でんぷん質を糖質にする必要があります。(これを『糖化』と言います)
日本酒であれば麹菌の働きで糖化するのですが、ビールやウイスキーの場合は麦芽に含まれる『酵素』を使って糖化します。
麦にたっぷり水をやり、発芽したところで乾燥させ、麦芽の成長を止めます。
成長を止めないと、せっかくのでんぷん質を麦自体が消費してしまうからです。
熱風を浴びせたり焙煎することによって、一気に大量の麦芽を乾燥させます。(これを『焙燥』といいます)
麦芽と他の原料を細かく砕いてお湯を加え、おかゆのような状態にします。
そうすると麦芽の酵素によって糖化が進み、それを絞ると甘い液体になります。(これを『麦汁』と言います)
蒸留器(ポットスチル)
その麦汁を発酵させるとアルコール度数7~8%の液体になります。
ここまでの製法はビールとほとんど一緒です。
その液体を何回か蒸留すると、アルコール度数60~70%の無色透明な液体になります。
その液体を木製の樽に詰めてゆっくり熟成させます。
そうやって豊かな風味と色あいを持った『ウイスキー』になるのです。
樽ごとに味わいに個体差があるので均一になるよう混ぜ合わせ、アルコール度数40~50%になるように加水して出来上がりです。
なんとなくで構いませんが、ウイスキーの作り方をご理解いただけたでしょうか?
では次の章からは、ウイスキーの種類とその違いを解説していきたいと思います。
スコットランド
英国スコットランドで造られるウイスキーのことをスコッチ ウイスキーと呼びます。
大麦を主原料とし、麦芽の焙燥に『ピート』を使うのが最大の特徴です。
蒸留は単式蒸留器で2回行います。
ピート
ピートとはスコットランド特有の泥炭のことです。
泥炭とは湿原で植物の遺骸が分解されず蓄積した、可燃性の地層のことです。
麦芽を焙燥する際にピートを使うことで、ウイスキーに独特な香りが付きます。
スコットランドには大小さまざまな種類のウイスキー蒸留所が存在します。
『シングル モルト』とは単一の蒸留所で造られた、大麦100%のウイスキーのことを指します。
それぞれの蒸留所がかなり個性的な味わいを持っているので、好き嫌いがはっきり分かれることもあります。
しかしそれ以上に、その単一銘柄をこよなく愛するコアなファンが多いのも事実です。
また、単一の樽で熟成されたシングル モルトを『シングル カスク』と呼びます。
本来なら樽ごとの個体差を無くすために混ぜ合わせるのですが、出来のいい樽は混ぜずに単一でリリースします。
さらに、本来であればアルコール度数を40~50%になるように加水するのですが、加水せずにリリースされたシングル モルトを『カスク ストレングス』と呼びます。
加水していないのでアルコール度数は60~70%あり、その味わいも強烈です。
シングル モルトなどを複数ブレンドしたウイスキーのことを指します。
大麦以外の穀物から造られたウイスキーを混ぜることもあります。
マスターブレンダーと呼ばれる専門の職人が、数種類のシングル モルトを絶妙なバランスでブレンドします。
バランス良く円熟味のある味わいに仕上げるその技術は、まさに神業と呼ぶに相応しいと思います。
上記のブレンデッド ウイスキーの中でも、シングル モルトだけで造ったものを指します。
最近あまり使わなくなった言い方です。
大麦以外で造ったウイスキーの総称です。
主にブレンド用として造られています。
アイルランド
アイルランドで造られるウイスキーをアイリッシュ・ウイスキーと呼びます。
大麦麦芽のほか、未発芽の大麦やライ麦、小麦なども原料として使用します。
スコッチと違い「ピート」を使わないのが最大の特徴です。
また単式蒸留器による蒸留回数が3回であることも特徴として挙げられます。(普通は2回)
ピートを使わないため、ピート由来のスモーキーな香りが付かず、原料の穀物が持つ芳醇な香りが引き出されます。
また3回蒸留することによって純度の高い原酒となるため、スムーズでまろやかな味わいのウイスキーとなります。
大麦麦芽と未発芽の大麦などを原料にして作られます。
未発芽の大麦を使うのはアイリッシュ ウイスキーだけで、ピリっとした独特の風味を醸し出します。
最もアイリッシュ ウイスキーらしい特徴のある味わいですが、近年ではその生産量は少なくなってきているのが残念です。
シングル ポットスチル ウイスキーとも呼ばれています。
大麦麦芽100%で造られるウイスキーです。
シングル モルト アイリッシュ ウイスキーとも呼ばれています。
大麦以外の穀物から造られるウイスキーの総称です。
主にブレンド用として造られています。
上記の原酒を数種類ブレンドしたウイスキーです。
最も生産量が多く、ポピュラーなアイリッシュ ウイスキーと言えます。
アメリカ
アメリカで造られるウイスキーのことをアメリカン ウイスキーと呼びます。
トウモロコシを主原料として造られるのが最大の特徴です。
また、内側を焦がした新樽を使って熟成させるのも特徴として挙げられます。(前述のスコッチやアイリッシュでは焦がしません)
原料のトウモロコシ由来の甘い香りと、焦がした樽によるビターな風味と深い色合いが楽しめます。
ケンタッキー州周辺で造られたウイスキーを指します。
主原料のトウモロコシを51%以上80%未満使うことが法律で定められています。
アメリカン ウイスキー=バーボンと言っても過言では無いほど、ケンタッキー州周辺はウイスキー造りが盛んです。
またスコッチと同様に、単一の樽で熟成されたバーボンを『シングル バレル バーボン』と呼びます。
少数の樽(5~10個)で丁寧に造られてブレンドされたバーボンを『スモール バッチ バーボン』と呼びます。
どちらも普通のバーボン ウイスキーとは一味違う、プレミアム バーボン ウイスキーと言えるでしょう。
ケンタッキー州のすぐ隣のテネシー州で造られたウイスキーを指します。
広義ではバーボン ウイスキーに含まれることもあります。
蒸留したばかりの原酒を、テネシー州産のサトウカエデの炭で濾過することが法律で定められています。
バーボン ウイスキーより生産地域が限定されますし、炭で濾過する手間もかかるので、バーボン ウイスキーより規制が厳しいと言えます。
つまり、バーボン ウイスキーはテネシー ウイスキーとは名乗れませんが、テネシー ウイスキーはバーボン ウイスキーと名乗ることも出来ます。
主原料のトウモロコシを80%以上使ったウイスキーを指します。
コーン ウイスキーだけは樽熟成しなくてもいいとされていて、無色透明のものも存在します。
大麦を51%以上使って造ったウイスキーのことを指します。
大麦100%で造られたものはシングル モルト ウイスキーと呼びます。
ライ麦を51%以上使って造ったウイスキーのことを指します。
ライ麦100%で造られたものはシングル ライ モルトウイスキーと呼びます。
小麦を51%以上使って造ったウイスキーのことを指します。
カナダで造られるウイスキーのことをカナディアン ウイスキーと呼びます。
トウモロコシを主原料とした「ベース ウイスキー」と、ライ麦を主原料とした「フレーバリング ウイスキー」をブレンドして造られるのが特徴です。
もともとカナディアン ウイスキーはライ麦を主原料として造られていたのですが、近年はトウモロコシを主原料にしたベース ウイスキーを主体にしたものが主流です。
アメリカの禁酒法時代に、アメリカへ密輸するための利便性もあって、カナダのウイスキー蒸留所はアメリカとの国境沿いに集中しています。
もちろん日本で造られているウイスキーのことです。
テレビドラマやドキュメンタリー番組でも話題になったのでご存知の方も多いかと思います。
サントリー山崎蒸留所の初代所長にしてニッカウヰスキーの創設者でもある故 竹鶴 政孝氏が、ジャパニーズ ウイスキーの発展に大きく貢献しました。
かつて日本ではウイスキーに関しての規制が非常に緩く、品質の悪い粗悪品が横行していた時代もあります。
世界のウイスキー愛好家や評論家はジャパニーズ ウイスキーに厳しい評価を下し、「ウイスキーではない」とまで言われたこともありました。
しかしジャパニーズ ウイスキーは独自の発展を遂げ技術も向上したことで、21世紀初頭には国際的な品評会で高い評価を収めるようになったのです。
古くから英国ウェールズでもウイスキーは製造されていたのですが、1894年に蒸留所がすべて閉鎖され歴史から姿を消しました。
しかし2000年に蒸留所が再開され、2004年に復活を遂げたウイスキーです。
ドイツ国内にウイスキー蒸留所があるわけではないのですが、スコッチの原酒をドイツ国内で熟成・ブレンド・瓶詰めしたレベルの高いウイスキーを生産しています。
ウイスキーとは呼ばれていますが、実は焼酎の仲間となります。
メコン ウイスキーと呼ばれるもので、米と糖蜜を主原料にして造られます。
イギリスの植民地であった時代から、スコッチ ウイスキーの製法に準じたウイスキーを製造しています。
現在では五大ウイスキーに次ぐ生産量もあり、知る人ぞ知るウイスキーと言えるでしょう。
ウイスキーの種類を産地や製法、原材料などの違いという角度で解説してみました。
なるべく専門用語は使わず、出来るだけ簡単な言葉で解説したつもりなのですが、それでもやはり難しかったかもしれません。
世界には様々な種類のウイスキーが存在し、それぞれが特徴ある個性的な味わいだということだけでもご理解いただければ幸いです。
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