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    あれ?ウイスキー?いえいえ『竹鶴』の日本酒も最高なんです!

    日本酒っていろんな種類があるし、値段もまちまちで何を選んでいいか分からない!とお悩みの方のために簡単な日本酒の選び方と、もともと味の濃い純米酒で知られ、燗して旨い純米酒の最高峰として名を馳せてきた、享保18年(1733年)創業の竹鶴酒造の『竹鶴』をご紹介!

    パック酒じゃない日本酒を選ぶ

    おいしい日本酒を適正な値段で買いたいという方は、まずは酒屋さん、スーパー、デパート、どこでもいいですが、目に付いた日本酒があったら、4合瓶(小さい方の瓶)を買いましょう。特に初めての銘柄であれば、どんな味か分からない。初めて飲む場合は4合瓶の方が危険が少ないと思います。(まずい、と思っても量が少ない) 現在は、品質が良くておいしい日本酒が、4合瓶なら 1000~2000 円程度でいろいろと揃ってます。

    ただし、パック酒はやめてください。確かに一見安いです。絶対的な値段では一升で 1000 円もしないので安いと思われるかもしれません。しかし、パックの場合は、内部のコーティングが問題です。環境ホルモンや発ガン性物質、耐性菌の危険性を早くから取り上げていたNPO法人「食品と暮らしの安全基金」の、最近講談社から出版された『食べるな! 危険』でもこの問題がとりあげられています。紙パックの内部のコーティング材が溶け出すし、酸素が透過するので酸化によりお酒の劣化が避けられないそうです。やはり、ガラス瓶に入っている方が安心です。

    味の変化を楽しむ

    お気に入りの日本酒があったら、今度は一升瓶はどうでしょうか。今までに買った4合瓶は捨ててしまいましたか?もしあったら、4合瓶は、中をよく洗って乾かしておいてください。あっ、もちろん、瓶のフタも捨てないでください。それで何をするかというと、買ってきた一升瓶から、4合瓶に日本酒を移すんです。この4合瓶2本は、1本は冷蔵庫へ、1本はそのままほったらかしにします。このやり方を提案すると「ほったらかしておいて、大丈夫? 味は変わらない?」とおっしゃいます。確かに変わります。でもそれが狙いなんです。それで日本酒が目覚めるんです。徳利に日本酒を移すじゃないですか。あれも同じことなんです。一度目覚めると、日本酒はどんどん変化します。そして、きちんと造られた日本酒は、どんどんおいしくなっていきます。とはいっても、だいたいの目安は一週間前後でしょうか。ピークを過ぎれば、味は落ちていきます。ですから、冷蔵庫に入れた1本とほったらかしにして1本を、少しずつ、飲み比べてみてください。初日に飲んだ味、2日目に飲んだ味、3日目に飲んだ味・・・一週間後に飲んだ味、それぞれ違うと思います。冷蔵庫に入れておいた日本酒と、ほったらかしにしておいた日本酒と、どちらがおいしかったですか?この飲み方をお奨めすると、たいていのお客さんは、はまります。これを何回かやってみる、自分の好み、日本酒の品質で多少の違いはありますが、最初の一口を飲んだだけで、大体何日目くらいで味のピークが来るか、分かるようになります。でも、これは、ただ単に日本酒を飲むだけじゃなくて、日本酒が熟成してゆく過程を実感できる。1粒で2度おいしい、そんな日本酒の楽しみ方です。是非、一度お試しください。

    その日本酒に合った温度を探して楽しむ

    日本酒には、それぞれに適した温度があります。究極は燗冷ましでも、おいしい日本酒です。私が言われたのは、「ええか、日本酒にはな、一番、味が引き立つ温度ってものがあるんじゃ。冷やしてええ日本酒、常温でええ日本酒、ぬるめの燗がええ日本酒、熱い燗がええ日本酒、冷めぎわがええ日本酒、それぞれ違うんじゃ。それを、お前ら分かっとらんからダメなんじゃ!」と怒られます。日本酒ってのはな、本来、燗をして飲むものなんじゃ。わしなんざ夏でも燗酒じゃわい。ええ日本酒だけを燗にして飲んどるから、この歳(今年で 80 歳)になっても医者知らずじゃ。それにな、燗をすれば、ええ日本酒かどうか、すぐ分かる! ほどほどにええ日本酒は冷やで、本当においしい日本酒はぬるめの燗で飲むのが一番おいしいんじゃ!! それにな、一度、燗冷ましにしてみい。燗冷ましにしてもおいしい日本酒が本当にええ酒。燗冷ましにしたら飲めんような日本酒はボロじゃ! よう覚えとけ!」と、怒られました。

    で・・・一番びっくりしたのは、燗冷まし!本当に、これは一目瞭然! 一発で分かります。ところが、大吟醸でも、お燗にすると、もっともっとおいしくなる日本酒もありました。そして、燗冷ましでもおいしいんです。たいてい、お燗にしておいしい日本酒は、燗冷ましでもおいしく飲めます。

    『 竹鶴(たけつる)』 はこんな日本酒

    竹鶴はもともと味の濃い純米酒で知られ、燗して旨い純米酒の最高峰として名を馳せてきた、享保18年(1733年)創業の竹鶴酒造。ニッカウヰスキーの祖、竹鶴政孝氏の生家としても有名だ。蔵では竹鶴の熟成酒は1年半以上寝かせ、熟成が進んでから出荷するという方針を貫いており、熟成させて美味しい酒は醸造年度ごとに味が変わり、それぞれの味の違いが楽しめる。生もと造りをコンセプトのひとつに据え、造りは少ないが強い個性を持つ蔵の持ち味をさらに際立たせていく。

    竹鶴酒造の酒蔵紹介

    この竹鶴の蔵で杜氏を任されているのは。早稲田大学時代に神亀に出会い、就学中から神亀で酒造りを始め、そのまま神亀の蔵人になってしまった石川杜氏です。神亀さんで4年ほど酒造りを経験した後、この竹鶴酒造に蔵人として入社しました。そして2年、蔵人として働いた後、竹鶴酒造の前任の杜氏さんが引退されるのに伴って、杜氏に任命されました。新しい井戸を堀り、新しい道具を導入し、造りもこれまでの竹鶴とは全く違うスタイルになっていきました。石川杜氏自身も言っておられましたが、やはり最初に入った神亀の影響は大きかったようです。石川杜氏をはじめとする、竹鶴酒造の面々の造る味わいは、決して数値で推し量れない奥深さがあります。

    竹鶴の開けたては確かにとっつきにくいです。杜氏自ら「純米爆弾」などと言っています。竹鶴を冷やのままで飲めば、口の中で酸が弾けます。でも、ゴツイ味わいが、時間の経過とともに、なんとも言えない旨味に変わってくるのです。瓶のままだったら、二週間~一ヶ月。口の広い酒器に入れておくなら半日くらい、竹鶴をそのままほったらかしにしてみて下さい。開けたてのゴツさは微塵もなく、竹鶴の骨太の酸が味の骨格を造り、その五味が見事に調和してきます。この味わいを知ってしまったら、もう後には引けません。あの竹鶴の野武士のような一本背筋のピインと通ったような味わいは、まさに竹鶴でしか味わえない個性でしょう。でも実は、竹鶴を語る場合、石川杜氏だけでは到底、語りきれません。実際、雑誌の取材などでも石川杜氏はよく出てこられるのですが、その後ろでこの大魔神を操っているのが竹鶴社長。若い杜氏の好きなようにさせ、必要な道具もすぐに購入する、新しい井戸を掘る、この社長なくしては、竹鶴は語れないでしょう。

    生もと造りを柱のひとつに据えることで『竹鶴』は次の次元へ

    竹鶴酒造は一貫して、米の旨みを最大限に引き出す酒造りを志向されている蔵元。竹鶴酒造の酒造りの方向性は明確で、アルコール添加・炭素濾過を廃した昔ながらの純米酒へのこだわりを持ちつつ、『食中酒として美味しく飲める酒』、『お燗をした方が美味しく飲める酒』を基本とし、どの竹鶴の商品にもこのコンセプトを貫いています。「納得していただくまでに時間はかかるかもしれないが、リピーターはとても重要な存在。放っておいても売れるような竹鶴をつくっていくことです」言葉を選びながら語る、理知的な竹鶴専務が主力に据えようとしているのが生もと造りの酒。

    竹鶴の酒造りにおいて、酒の母体となる酒母(もと)の発酵と増殖はとても大切で、そのために強い酸性の乳酸が必要となります。乳酸を人工的に添加し、約10日強の日数で酒母を造る速醸もとに対して、天然の乳酸菌が生む乳酸で発酵させ、最終的に強力な酵母を残すのが生もと。生もと造りでは速醸もとの倍の時間を要します。速醸は製造期間が半分で済むから広まっていったということも事実で、竹鶴の生もと造りはそれだけの労力とコストがかかる製法だと言えるでしょう。「忠実に完全な形で生もと造りを行ない、適正な値付けを行ったらどうしても値段は高くなります。値段は高くなるが、その分味で納得してもらえるような、保証できる味を造らないといけない」そこまでして竹鶴専務が生もとに力を入れているのは、自然派志向の酒造りを行う石川杜氏の熱意によるところもあったようです。

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