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    秋田の日本酒といえばコレ!! 『新政』の魅力とそのラインナップ

    秋田県を代表する日本酒といえば『新政』と断言する方も多いのではないでしょうか? そこで今回は秋田の銘酒『新政』の魅力に迫ってみようと思います。日本酒の固定概念を覆した『新政』 その商品ラインナップも併せてご紹介していこうと思います。

    新政とは?

    秋田県に限らず、日本全国でも屈指の銘酒です。
    嘉永五年(1852年)創業の新政酒造(株)が醸造しています。

    新政酒造(株)とは?

    所在地:秋田県秋田市大町6丁目2番35号
    TEL:018-823-6407
    FAX:018-864-4407

    嘉永5年(1852)、初代佐藤卯兵衛(さとううへえ)により、秋田市中心地を流れる旭川のほとりで創業した蔵元が「新政酒造」です。
    当初は「やまウの酒」と親しまれていましたが、明治政府による施策の大綱「新政厚徳(しんせいこうとく)」の発表を機に、酒名を「新政(しんせい)」と命名しました。
    その後、当時の秋田市長、井上廣居氏の進言により「あらまさ」と改めました。

    「新政厚徳(しんせいこうとく)」とは?

    幕末動乱から 明治維新がおこり、その革命のメッセージとして掲げられたのが「新政厚徳(しんせいこうとく)」です。
    「厚い徳をもって、新たな政(まつりごと)を行うべし」という意味が込められています。

    新政酒造は五代目佐藤卯兵衛の時代、全国新酒鑑評会において連続の首席を獲得しました。
    超高度精白の実践や、長期低温発酵法の確立、そして現在最古の清酒酵母となった「きょうかい6号酵母」を誕生させるなど、様々な功績を残しています。
    それは秋田の酒造りのみならず、日本酒製造技術の近代化、とりわけ吟醸酒製法の確立において、多大な功績を残した名蔵と言えるでしょう。

    新政酒造の特徴

    ①秋田県産米による生酛純米造り

    新政酒造は上品な香りが特徴である先祖伝来の「六号酵母」のみを使用した「純米酒」に強いこだわりを持っています。
    使用する酒米も全てが秋田県産米かつ酒造好適米のみを使用しています。
    また安心、安全な酒造りを徹底させるため、酒蔵のある秋田市周辺に多くの契約栽培田を有しています。

    ②完全無添加

    酒税法上、日本酒の安全醸造のために使用される添加物については、ラベルへの記載義務がありません。
    代表的なものは、速醸酒母や補酸に用いられる「醸造用酸類」、あるいは「除酸剤」、麹の代替として使われる「酵素剤」、発酵助剤である「無機塩類」・「ビタミン類」などがあります。
    そういったラベル記載義務がない添加物も、新政酒造は一切使用せずに日本酒を造っています。

    ③四合瓶(720ml)

    日本酒は酸化を防いで保管される必要があります。
    日本酒の生酒や吟醸酒など、フレッシュさや繊細さが魅力である酒については、特に酸化に気を使う必要があります。
    つまり日本酒は開栓前後にかかわりなく冷蔵庫で保管し、開栓後はすみやかに飲みきる方がいいのです。
    そのため新政酒造では、家庭用サイズの冷蔵庫にも入りやすい、飲み切りサイズの四合瓶(720ml)で日本酒を提供しています。

    ④純米酒に統一

    日本酒は精米歩合によって「純米酒」・「特別純米酒」・「純米吟醸酒」・「純米大吟醸酒」という4つの区分に分けられます。
    新政酒造では精米歩合のみが酒の価値を決めるものではないという考えから、いかなる精米歩合であろうとも、すべて「純米酒」という表記に統一しています。

    ⑤設備

    新政酒造の蔵内には3機の精米機があります。
    自社で精米することにより、丁寧に、そして正確に酒米を磨きあげることが可能になります。
    酒造りのため必要であると判断すれば、積極的な設備投資を行っています。
    その一方で、洗米後に水を切る放冷機は、蔵人である社員自らが手造りで製造するなど、スタッフ一人一人の知恵が蔵内の至るところに見受けられます。

    ⑥体制

    新政酒造は現代表取締役である佐藤祐輔氏が先頭に立ち2008年秋より社員制を導入し、秋田県内の酒蔵としては異例の若いスタッフたちが日本酒造りを実践しています。
    冬季の間のみ蔵人を雇い込むという秋田の酒造りのスタイルを変え、10月から5月の長期間、じっくりと酒造りを行う体制へ移行しました。
    今では北海道や長崎など全国各地で活躍していた若い精鋭メンバーが集結し、エネルギーみなぎる日本酒造りを行っています。

    ※佐藤祐輔って?

    東大英文科卒業後にフリージャーナリストを経て、家業の新政酒造を継ぐという異色の経歴を持つ人物です。
    かつてはライターとして文筆活動で活躍していたのですが、ジャーリズムの観点から日本酒の魅力を知ることになったそうです。
    最初は文筆活動の研究材料、取材対象として接するようになった日本酒でしたが、やがて日本酒の世界にのめりこんでいったそうです。
    そんな矢先に家業の新政酒造の経営危機を知ることとなり、意を決して30代で家業を継ぎ、経営改革に臨みました。

    新政酒造の日本酒① 『Colors』シリーズ

    秋田の酒米の個性が味わえる火入れシリーズです。
    個々の酒米の魅力を最も発揮する精米歩合で醸造し、適切な火入れ処理を行うことでその特徴をそのままに安定させています。
    「新政」の味わいを安定的に余すところなく楽しめる、最もスタンダードな日本酒です。

    水墨 -Ash-

    通称「アッシュ」。
    東北の酒米ならびに飯米の祖である「亀の尾」を用いて、木桶仕込みによって醸した日本酒です。
    原料米の精米歩合は30%と、新政のラインナップ中もっとも贅沢な造りとなっています。
    「亀の尾」は新政にとっての最重要原料米であり、「水墨」は未来の新政を予言する作品ともいえるでしょう。

    秋櫻 -Cosmos-

    通称「コスモス」。
    昭和34年に秋田で初めて生まれた酒造用好適米である「改良信交」を使用しています。
    現在、秋田県では新政酒造のみが用いており、まさに「新政」を象徴する米となっています。
    「コスモス」はこの「改良信交」を用いて木桶仕込みによって醸される貴重な日本酒です。

    天鷲絨 -Viridian-

    通称「ヴィリジアン」。
    秋田の高級酒米「美郷錦」を用い、木桶仕込みによって醸した日本酒です。
    「美郷錦」のポテンシャルをもっとも発揮すると言われる精米歩合40%で作られています。
    「天鷲絨」は、Colorsラインナップ中、もっとも厚みと余韻がある力強い味わいとなっています。

    瑠璃 -Lapis Lazuli-

    通称「ラピス」。
    東北を代表する酒米「美山錦」の清涼にして端正な味わいが楽しめる定番商品です。
    麹米には40%、掛米には50%とそれぞれ異なる磨きを配し、米の性質をよく表しながらも軽快な味わいの日本酒となっています。
    「ラピス」は、新政の基本的な味わいを楽しめる「定点観測」的な日本酒です。

    生成 -Ecru-

    通称「エクリュ」。
    秋田生まれの酒米「酒こまち」を用いた日本酒です。
    麹米に40%、掛米に60%と異なる磨きを配しています。
    まさに寒冷地の雪解け水を思わせるような、清らかな味わいが楽しめます。

    新政酒造の日本酒② 『No,6』シリーズ

    新政の唯一の定番の生酒です。
    新政酒造が元祖の「きょうかい6号酵母」の魅力を最大限に発揮するために醸造されたシリーズです。
    本来、日本酒の生酒は冬の新酒から翌年の春先まで、つまり気温が低い時期のみ流通する期間限定品です。
    無殺菌で酵素も失活されていない日本酒の生酒は、冷蔵庫の中(6度以下)でしか品質を維持できないので、気温の高い時期に出荷すると味が変質してしまうからです。
    しかし「NO.6」シリーズは、新政酒造での徹底した品質管理と、厳選された銘酒専門店のみで販売することで、鮮度の高い生酒を通年で味わうことができます。

    X-type

    X-Typeは「eXcellent」(豪華版)を意味する「NO.6」シリーズの最上級品です。
    磨きこまれた米を用いるため、より格調高い仕上がりになっています。
    6号酵母の清楚にして力強い存在感をもっとも鮮やかに感じ取れる味わいです。

    S-type

    S-Typeは「Superior」(上級版)を意味する「NO.6」シリーズの代表作です。
    口に含むと前半はふくよかなの濃縮感、後半はキレのある清涼感と、好対照な味わいが楽しめます。
    個性と完成度が両立した、表現力豊かな日本酒と言えるでしょう。

    R-type

    R-Typeは「Regular」(通常版)を意味する「NO.6」シリーズの定番商品です。
    生酛造りによって強調された生酒らしい旨みを、気軽に楽しむことができる「入門編」と言えるでしょう。

    新政酒造の日本酒③ 『Private Lab』シリーズ

    一般的な日本酒の製法によらず、革新的で大胆な手法で醸されるのが「Private Lab」シリーズです。
    日本酒が将来達成すべき新しい味わいや、日本酒が解決しなくてはならない問題点をクリアするために構想されました。
    現体制になった新生「新政」の、根源的な精神と初期衝動をもっともよく伝えるシリーズと言えるでしょう。

    貴醸酒 陽乃鳥(ひのとり)

    1973年に発見された日本最古の清酒製法をベースとして開発されました。
    日本酒は通常、米・米麹・水で仕込まれるのですが、この水の一部を日本酒に置き換えて仕込むのだそうです。
    日本酒がもう一度もろみの中で発酵作用を受けることによって、甘みが増しより濃厚な味わいになります。
    この日本酒が生まれ変わる様から「陽乃鳥」と名付けられました。
    姉妹品としてオーク樽にで熟成し、よりパワフルな味わいとなった「陽乃鳥オーク」もあります。

    白麹仕込純米酒 亜麻猫(あまねこ)

    通常の清酒用麹に加えて、強い酸味を持つ焼酎用麹(白麹)も用いて醸された日本酒で、日本酒離れした酸味が楽しめる味わいとなっています。
    白麹は泡盛の製法に不可欠の黒麹を親としているため、「亜麻猫」は日本酒と琉球文化とのハイブリッドとも言えるでしょう。
    まさに「新政」の実験的精神を端的に表した作品であり、ひときわ異彩を放つ存在となっています。
    スピンオフとして瓶内二次発酵を行った活性濁り生酒「亜麻猫 スパーク」もあります。

    低酒精発泡純米酒 天蛙(あまがえる)

    アルコール度数10%以下の低アルコールで発泡性の日本酒です。
    「生酒」であるため、生存している酵母が瓶内でアルコール発酵を進めるので、発酵時に発生した炭酸ガスで内圧が高まりすぎる恐れがあります。
    そのため蔵内での貯蔵はもちろん、取り扱い店舗でもマイナス5度以下での管理を厳守しています。
    技術的にも最難関のひとつであり、扱いも厳重を期すため、新政酒造の中でもっとも少量生産の「幻の日本酒」と言えるでしょう。

    『新政』の魅力とそのラインナップ まとめ

    いかがでしたでしょうか?
    新政酒造は2008年から新体制となり、飛躍的に評価が上がっている蔵元です。
    その革新的な取り組みにも期待が膨らみ、今後がますます楽しみになってきます。
    ぜひ一度、新生「新政」を飲んでみてください。

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