2016/06/13 更新
難しいペアリング:カレーと赤ワインを理解し、ゲストを驚かせよう!
一般的にカレーとワイン、特に赤ワインを合わせるのはほぼ無理だと言われます。なぜでしょうか?理由を徹底解剖し、理解を深めれば、赤ワインの種類も様々、カレー作りも工夫すれば、マリアージュも可能です!自家製特性カレーと選りすぐりの赤ワインでゲストを驚かせましょう。
カレーを含め香辛料のきいたスパイシーな料理は、赤ワインをはじめ、ワインの苦み、酸味、そしてアルコールの焼けるような感覚をより増加させます。同時に、ワインのボディ、味わいの豊かさ、そして甘味やフルーツ味を減少させます。これらの反応は各ワインのアルコール度にもより、アルコール度が高い程、より強い灼熱感を感じ、それを好む方には良いかもしれませんが、基本的にカレーと赤ワインが合わないのはこうした点が理由とされます。
私たちが幼少から食べ慣れている日本のカレーは甘みが特徴です。甘みもまた、赤ワインなどワインの苦み、酸味、アルコールの焼けるような感覚をより増加させ、ワインのボディ、味わいの豊かさ、そして甘味やフルーツ味を減少させます。甘みは、辛口なワインの美しいフルーツ味を殺し、不快な酸味に変えてしまします。
辛い料理には、アルコール度の低めのもの、辛さの中にも甘みがある料理なら甘めでフルーティーな風味のあるワインを原則とし、ドイツやオーストリア、アルザス産のリースリングがソムリエの間で人気です。ドイツ産なら、セミスイート〜スイートなカビネットやアウスレーゼがよいでしょう。オーストリアのグリューナーや、上記産地のゲヴュルツトラミネールも好みで面白いです。しかし、ルールはありませんから、赤ワインも含めてカレーにあうワインを色々探し求めることが一番でしょう。
人気漫画「神の雫」(講談社刊)の登場人物・本間チョースケのモデルにもなった、ワインの専門家、本間敦さんは、ビーフカレーのキーワードは、良質な脂と肉の甘みであり、凝縮した果実の甘みで肉の脂に負けない濃厚な赤ワイン、ということで、カリフォルニアのジンファンデルとアルゼンチンのマルベックをすすめてらっしゃいます。ジンファンデルはブラックベリーのジャムやプリザーブな風味が、そして、マルベックもまた濃いベリーや黒胡椒、クローブの風味がこうしたタイプのカレーとマリアージュするようです。
インドカレーと言っても様々ですが、イランやパキスタンなど中東の影響を受け、ナンやローティーなどのパンと合わせ、牛乳やダヒー(ヨーグルト)、ギー(澄ましバター)やパニール(フレッシュチーズ)などの乳製品を多く使用した北インドカレーは、クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモンなどを配合したガラムマサラの多用が特徴です。スパイスを気持ち軽めに、野菜やチキンを中心としたカレーには軽いボディのフルーティーな赤ワインが良いでしょう。
バーガンディの赤ワイン:ピノノワール
ギー(澄ましバター)の使用が多いのは、フランス料理の影響です。よって、バーガンディの赤ワイン、ピノノワールを合わせてみてはどうでしょうか?ピノノワールはストロベリーやラズベリーなどの赤めのベリーやキャベツなどの野菜、そして濡れた落ち葉やキノコなどの動物のニュアンスを愉しめる赤ワインです。生産地区によって様々なグレードがあるのも魅力です。ニューワールドでは、カリフォルニアのソノマコーストのピノノワールもおすすめです。
ローン地方のマジカルブレンド赤ワイン:GSM
グルナッシュ(Grenache)、シラー(Syrah)、ムールヴェードル(Mourvedre)の頭文字を取って通称GSMと知られるコート・デュ・ローヌのワインは、アルコール度数は高いものの、明るい果実やハーブなどの味わいは軽く、フィニッシュがペッパーやハーブを感じられるので、スパイスやハーブをたくさん使うインドカレーに試したい赤ワインです。
ラム煮込みカレーなどインパクトのあるものには赤ワインもインパクトのあるものを!
連日多くの人々で賑わうサンフランシスコのインドカレーレストラン、DOSAのソムリエによると、ラム煮込みカレーなどインパクトのあるものには、ペアリングの赤ワインもインパクトのあるものを、とのことで、例にアレキサンダーバレーのカベルネソーヴィニヨンを上げています。カベルネソーヴィニヨンはナパバレーで最も栽培されている黒葡萄品種ですが、場所によって質やキャラクターは様々です。特別な日をインパクトのあるカレーと赤ワインで、という方はプレミアのオークヴィル産をおすすめします。有名なオーパスワンも同地区でカベルネをたくさん栽培しますが、ボルドースタイルのブレンド赤ワインになります。
タイカレーに赤ワインは一番難題かもしれません。しかし、どうしても赤ワインを、という場合は軽めでジューシーでタンニンの低いものを選びましょう。ガメイはフレッシュで若く、爽やかなキャラクターがタイカレーを引き立ててくれます。ボジョレーヌーボーの原料としても名高い黒ぶどうです。また、ピノノワールも軽く果実味たっぷり、しかも手頃なものも多くありますから嬉しい選択肢です。
フランスのカレー粉ヴァドゥヴァンは、クミンやシャロット、カレーリーフの香りが高いあまり辛くないマサラです。肉や魚のマリネードによく使用されますが、カリフラワーや根菜のローストにシーズニングとして使用しても美味しいカレー粉です。赤ワインに合わせたい場合は、牛肉やラムをこのカレー粉で料理してみるといいでしょう。そうすると赤ワインの選択肢が非常に広がります。
ペアリングとして合わせる赤ワインを、カレーそのものに入れて一緒に煮込んでしまいましょう。そうすることでマリアージュが生まれ、普段は合わない赤ワインとカレーを美味しく頂けます。特に日本のカレーは牛肉の使用が一般的ですので、赤ワイン煮込みという感覚で調理できます。
いかがでしたか?カレーと赤ワインの特徴をよく知ることで、非常に難しいとされるペアリングも夢ではないですね。インドカレーならスパイスの組み合わせ、タイカレーならペースト作り、日本カレーならペアリング用の赤ワインで煮込んでみるなど、テストキッチンを繰り返してみましょう。また、赤ワインも各地の様々な種類を飲み比べてみるのが、自分好みを見つける近道ではないでしょうか。次回のおもてなしは、カレーと赤ワインでゲストをびっくりさせてみては?